資産運用状況

資産運用用語集

あ行

アクティブ運用
ファンド・マネジャーが積極的・戦略的に投資対象、組入れ比率、売買のタイミング等の投資判断を行い運用する手法。株式アクティブ運用では個別銘柄等に関する情報の収集・分析を行ない、魅力的な株式をファンドに組入れることにより、市場を超える収益率の確保を目的とする。一般的に売買頻度が高くなりがちであり、情報の入手や分析にも労力を要するため、取引コストや運用受託機関への委託手数料が高くなる。
⇒パッシブ運用
アセット・アロケーション
国内外の株式や債券、短期金融商品など様々な資産を、その資産の期待収益率、リスクなどを分析し、リスク許容度に応じ投資対象の資産配分比率を決定すること。
アセットミックス
ポートフォリオに含まれる資産(国内外の株式や債券など)の構成割合のこと。特に中長期の投資方針のもとで策定された資産配分計画を政策アセットミックスという。
アルファ(α)値(超過収益)
投資資産の収益率が、どれだけベンチマークの収益率を上回っているのかを示す指標。アルファ値がプラスということは、ベンチマークよりも、リターンが大きいことを意味する。
アンコンストレインド運用
時価総額インデックスをベンチマークにすることから生じる運用上の制約をなくし、従来の伝統的アクティブ運用と比較して運用の自由度を高めた債券運用戦略を指す。「アンコンストレインド(unconstrained)」とは「制約がない」という意味であり、2007年の世界金融危機以降のグローバルな金融緩和政策による低い利回りと潜在的な金利上昇リスクに対応した債券運用戦略のひとつである。
一般勘定
生命保険会社が、年金基金や個人年金等から預かった保険料を一つの勘定で運用し、一定の予定利率を保険契約者に保証している(=保証利率)商品。実際の運用利回りが予定利率を上回った場合は、その一部が配当として還元される。一般勘定の保険料は国内外有価証券や不動産・貸付等に広く分散投資されている。
イールドカーブ
一般的には、同一発行体の発行する債券において、債券の残存年数に応じた金利の水準を表したもの。利回り曲線ともいう。
インカム・ゲイン
債券投資や預金などから生じる受取利子、株式投資の場合の現金配当、信託の結果としての収益分配金などから生ずる所得の総称。
⇒キャピタル・ゲイン
インデックス
国内外の株式や債券などの市場の動向を表すために、特定のルールに基づき作成された指数。NOMURA-BPI(日本債券)、TOPIX(日本株式)、ブルームバーグ・グローバル総合インデックス(グローバル債券)、MSCI(グローバル株式)等、個別資産ごとにだけでなく、同一資産内であっても作成ルールの違いにより様々なインデックスが存在する。基本ポートフォリオの各資産クラスのベンチマークは次のものを用いている。

グローバル債券(円ヘッジ):ブルームバーグ・グローバル総合インデックス(除く中国元、円ヘッジ・円ベース)

グローバル債券(ヘッジなし):ブルームバーグ・グローバル総合インデックス(除く中国元、ヘッジなし・円ベース)

グローバル株式:MSCI-WORLD(税引前配当込み、円ベース)

インデックス運用
ファンドの組入れ銘柄群(ポートフォリオ)を市場のインデックス(TOPIX等)構成銘柄と同等のものにすることによって、市場と同等のパフォーマンスをあげることを目的とする運用方法。この運用方法は、市場が効率的であることを前提に、アクティブ運用でコストを支払って情報の収集・分析に努めても継続的に市場に勝ち続けることは困難であるという考え方に立っている。
インデックス運用の委託手数料は経済分析や銘柄分析等の市場見通しを行なわない分、アクティブ運用に比べて安くなる。
⇒パッシブ運用
インフォメーション・レシオ
リスクを加味した超過収益の尺度で、超過収益獲得のための効率性を示す。市場平均を上回る収益を上げるため、どれだけのリスクをとり、そのリスク1単位あたりどれだけの超過収益を上げているかを示す。
インフラ投資
インフラ(インフラストラクチャー)とは、市民生活や産業活動を営む上で基盤となる設備や施設のことを指す(交通・発送電施設、学校、刑務所等)。インフラ投資とは、それら施設やその運営会社への出資や融資を行うことによりリターンを狙う運用手法を指す。非上場インフラや実物不動産への投資が典型的な例であり、中長期的に安定したリターン、他資産クラスとの相関性の低さ、インフレヘッジ効果を期待されるなどの特徴がある。
運用指針(運用ガイドライン)
年金基金が、採用している個別の運用受託機関に対して提示しなければいけない運用にあたってのルール、制限等の具体的な指針。各運用受託機関が遵守すべき資産構成割合の基準および乖離幅(または資産構成についての方針)、運用手法、ベンチマーク、運用業務の報告内容・方法等を提示する。
運用受託機関
年金基金との契約に基づき、資産運用を行う信託銀行、投資顧問会社または生命保険会社のこと。運用受託機関は、契約した年金基金に対して受託者責任を負う。
運用スタイル
投資スタイルともいい、株式投資をおこなう際に基本となる考え方や手法を総称している。代表的な運用スタイルにはアクティブ運用とパッシブ運用があり、アクティブ運用においては超過収益の源泉の違いにより成長型(グロース)運用や割安型(バリュー)運用などがある。
エマージング
エマージングとは、「新興の」、「発展段階の」という意味で、中国、インド、東南アジア、中南米、ロシア、東欧諸国など、経済新興諸国の市場のことをエマージング市場という。エマージング市場への投資は、高い経済成長率や今後の市場整備により、高いリターンが期待されるが、政治・経済の基盤が不安定であることからリスクも大きい。
エンハンスト・インデックス運用
ファンドの組入れ銘柄群(ポートフォリオ)を市場のインデックス(TOPIX等)構成銘柄と同等のものにすることによって、市場と同等のパフォーマンスをあげることを目的とするインデックス運用に対して、ポートフォリオをインデックスに極力合わせつつ、インデックスよりは高いリターンを目指す運用方法。通常のアクティブ運用よりもトラッキング・エラーを小さく取り、安定的なアクティブ・リターン獲得を目指すため、伝統的なアクティブ運用とパッシブ運用の中間に位置付けられる。
オプション取引
ある商品を、将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格(=権利行使価格)で買う権利、又は売る権利を売買する取引のことをさす。買う権利をコール・オプション、売る権利をプット・オプションという。
オルタナティブ投資(代替投資)
株式、債券などを投資対象とする伝統運用以外の投資。具体的にはヘッジファンド・商品ファンド・不動産などで、従来にない資産に代替する(=オルタナティブ)という意味でこの名称が使われている。

か行

価格変動リスク
投資対象資産の価格が上下するリスクのこと。
格付機関
国や企業の発行する債券などについて、国や企業の財務データなどを分析し、債務の履行可能性に応じ「格付」を付与している第三者の民間機関のこと。スタンダード&プアーズ(S&P)社、ムーディーズ社、日本格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)などがある。
確定給付年金
従業員の給与水準や勤続年数に応じて給付額をあらかじめ決めている年金制度。
確定拠出年金
個人があらかじめ毎月の掛け金額および投資資産を決めておき、積立金の運用成績に応じて将来の給付額が決まる年金制度。
株価収益率(PER)
株価を一株当たり利益で割って算出される。株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する際に利用される尺度である。一般的には、市場平均との比較や、その会社の過去のレンジとの比較で割高・割安を判断する場合が多い。
株価純資産倍率(PBR)
PBRは、当該企業について市場が評価した価格(時価総額)が、会計上の解散価値(株主資本)の何倍であるかを表す指標であり、株価を一株当たり純資産(株主資本)で割ることで算出される。一般的にはPBR水準1倍が株価の下限であると考えられるため、下値を推定する上では効果がある。
株主議決権行使
株式の議決権を保有する投資家(株主)が、株主総会で議案に対する賛否を投票することをいう。年金基金は運用資産の利益増大を図ることを目的に、自ら議決権を行使するか、または、運用受託機関に議決権の行使を委ねる。
為替ヘッジ
外貨建て資産を保有している場合において、将来のある時点に事前に決められた一定の交換レートで外貨を売り、円を買う取引を行い、為替変動に係るリスクを回避すること。一般的には、通貨の先物取引やオプション取引を行う。
為替リスク
外国為替レートの変動により、邦貨(円)ベースでの利益や損失が発生するリスクのこと。
期待収益率
運用において想定するリターン。投資する資金に対してどれくらいの収益を見込んでいるのかを表している。
基本ポートフォリオ
年金基金が中長期的に維持すべき全体の資産構成割合のこと。基本アセットミックスとも言う。ポートフォリオのリターンの変動の90%以上は基本ポートフォリオによって説明されるともいわれており、運用目標の達成や資産全体のリスク管理の観点から、その重要性は非常に大きい。具体的な策定のプロセスは、年金ALMの利用により、基金財政の将来像や母体企業のリスク許容度等を把握した上で、掛金の上昇幅を最小に抑えられる等の観点を踏まえ、効率的フロンティア上より選択することになる。基本ポートフォリオは中長期的な観点から策定されるものであり、直近の市場動向等に安易に左右されるべきものではない。
キャッシュ・バランス・プラン
従来の適格退職年金制度など確定給付年金制度と確定拠出年金制度の両方の特徴を持つハイブリッド(混合)型と呼ばれる制度。
キャピタル・アセット・プライシング・モデル
個別証券の無リスク資産に対する期待超過収益率は、市場リターンに対する感応度により説明されることを示し、それまでリターンの標準偏差によって表されていたリスク概念に加えて、個別証券の市場全体への感応度を示すβ(ベータ)という概念を提示した。

E(Ri)-Rf =βi(E(Rm) -Rf)

※E(Ri):証券iの期待収益率 Rf:無リスク資産の収益率

βi:証券iのベータ E (Rm):市場ポートフォリオの期待収益率

キャピタル・ゲイン
株式や債券といった有価証券の投資収益は、インカム・ゲインとキャピタル・ゲインの2つに大別することができる。株式等の有価証券の値動きにより投資元本(キャピタル)自体の価値が変動するが、値上がりによる収益をキャピタル・ゲインといい、反対に値下がりによる損失をキャピタル・ロスという。
キャピタルコール
流動性が低いファンド(プライベート・エクイティなど)において、ファンド組成時に投資対象を一括取得できないことから、投資の進捗状況に応じて、投資家が予め決められた期間内・出資上限の範囲内で、ファンドに対して段階的に資金提供を行うことを"キャピタルコール方式"と言う。その場合、投資ファンドが投資資金の払い込みを投資家に要求することをキャピタルコールと呼ぶ。
金額加重収益率
期初の元本と期中に追加されたキャッシュフローを全ての収益率で運用したものが期末の時価総額となるとき、この収益率を金額加重収益率という。この収益率は、キャッシュフローも含めた運用資産全体の収益率の測定に適している。しかし、キャッシュフローとそのタイミングの影響を排除できないため、計算効果が本来の運用能力とは違ったものとして計算されるためファンド・マネジャーの評価には適していない。
⇒時間加重収益率
クオンツ運用
過去における株価変動と株価変動要素(経済指標や企業財務データなど)との関係を、コンピュータを用いて数量的に分析し、その分析結果を反映したプログラムによって行う運用。プログラム作成以降の運用は、ファンド・マネジャーの相場観に影響されない。なお、クオンツ運用に対して、ファンド・マネジャーが株価、経済指標や企業財務データなどを分析し、都度、投資判断を行う運用方法はをジャッジメンタルという。
グロース運用
⇒成長型運用
現代投資理論(モダン・ポートフォリオ・セオリー:MPT)
現代投資理論は、マーコウィッツ(Markowitz)が著した論文<Portfolio Selection>にその端を発する。それまで投資家が漠然と持っていた経験則を、統計的手法を用いて具体化し、個別証券の期待収益率・リスク(標準偏差)・相関係数から導出される効率的フロンティア等から、最適なポートフォリオを決定する方法を考案した。マーコウィッツの議論は、個別投資家による最適ポートフォリオ選択の問題であったが、これを市場全体に拡張し、市場における個別証券の均衡価格を扱う理論が、シャープ(Sharpe)・リントナー(Lintner)によるキャピタル・アセット・プライシング・モデル(CAPM:Capital Asset Pricing Model)である。
合同運用
複数の契約の資金を1つの勘定で運用すること。信託銀行の年金信託や年金投資基金信託(年投口)、生命保険会社の一般勘定、第一特約がこれに当たる。合同運用では、個別契約の金額が少なくても、これらをまとめることによって、多数の資産や銘柄に投資が可能となり、リスク分散がはかれるというメリットがある。一方で、合同で運用されるため、年金基金の細かな運用ニーズには対応出来ない。
効率的市場仮説
ファイナンス理論における考え方の一つで、市場で取引されるすべての証券の価格が、その時点で利用できるすべての情報をもとに瞬時に形成され、利用されていない利益機会が存在しない場合、市場は効率的であるという。
効率的フロンティア(efficient frontier)
有効フロンティアとも訳される。内外の債券・株式等、複数の投資対象資産のすべての組み合わせのなかで、同じリターンならリスクの最も小さい組み合わせ、同じリスクならリターンの最も高い組み合わせ(つまり最も効率的な組み合わせ)を集めたもの。
効率的フロンティアを描くためには、過去データ等に基づく各資産のリターンとリスクのほか、相関係数が必要である。アセットミックスの合計リターンは各資産のリターンをその比率で加重平均した値となるが、合計のリスクは資産分散効果により、各資産間の相関係数に応じて低減するからである。資産分散効果を織込んだ結果、効率的フロンティアの形状は、リスクの低減を示す左側に湾曲した曲線となることが多い。
コーポレート・ガバナンス
企業統治の意味で、企業の経営を監視、規律すること、または、その仕組みのこと。
コンプライアンス
法令遵守やその体制のことをいう。運用受託機関においては、役職員の具体的行動規範や内部管理体制などが規定されている。

さ行

最良執行
運用受託機関が株式や債券などを売買(執行)する際、総合的な取引コストが最小となるよう努めること。運用受託機関の受託者責任の一つ。
先物取引
先物取引とは、ある商品を、将来の一定の期日に、その時の市場価格に関係なく今の時点で決められた特定の価格で取引すること。
Jカーブ効果
プライベート・エクイティ(バイアウト・ベンチャー等)投資において、投資開始当初は収益の計上が行われず、コスト負担の影響で収益・キャッシュフローがマイナスになってしまい、その後の時間経過に伴い収益が上がることを指す。リターン曲線が、アルファベットの「J」に似ていることからこのように呼ばれている。
自家運用
積立金運用を外部の運用受託機関に委託せず、年金基金が自ら運用すること。インハウス運用とも呼ばれる。自家運用のメリットとしては、
  1. 年金基金自身が運用するので、自ら望む運用を行うことができる。
  2. 自ら運用することでノウハウが蓄積され、より効果的に外部の運用受託機関を管理ができる(自家運用を通じて、資産運用上の重要な管理ポイントが理解できるということ)。
  3. コストが節約できる。
等にあるといわれている。
時間加重収益率
運用受託機関の意思によってコントロールできない運用期間中に発生したキャッシュフローの影響を排除した時価ベースの収益率でファンド・マネジャーの運用能力を評価するのに適している。最も厳密に計算する場合、キャッシュフローが発生するたびに期間(時間)を区切り、その分割された単位期間ごとに収益率を算出した上で、それらの収益率を掛け合わせ(加重)、年当たりの複利に換算する。
⇒金額加重収益率
時間分散効果
投資期間を長期化させることによりポートフォリオのリスクが低減するという効果のこと。ポートフォリオの投資期間中の平均年率リターンのばらつき(=標準偏差)に注目した場合、投資期間が長期化すればするほどリスクが低下してゆく。投資期間が長くなると、平均以上のリターンと平均以下のリターンが相殺され、平均リターンが期待収益率付近に徐々に収束していくからである。
資産管理機関
年金基金が運用する資産を保管・管理する機関。信託銀行やマスタートラストのこと。
資産配分効果
基本ポートフォリオと実際のポートフォリオとの構成割合の乖離が、ポートフォリオのパフォーマンスに与える効果のこと。なお、各資産(内外株式や債券など)のベンチマーク収益率と実際の収益率の乖離がポートフォリオのパフォーマンスに与える影響は個別資産効果という。
資産分散効果
資産(債券・株式・外債・外株等)、運用受託機関、運用スタイル、銘柄等の投資対象において、単独の対象に集中して投資するのではなく、複数の対象に分散して投資することにより、リスクが低減する効果。資産分散効果は、収益率の変動(リスク)の相関が投資対象によって異なるため、投資対象それぞれの変動が相殺されることにより生じる。投資対象の収益率の変動が完全に一致する場合(完全な正の相関関係にある場合)は、この効果が生じず、変動が完全に逆となっている場合(負の相関関係にある場合)は、リスクが相殺される。
シャープ・レシオ
パフォーマンス評価測度の1つであり、「リスク1単位当りの安全資産に対する超過リターン」(リスク調整後リターン)として利用される。単純なリターンの大小ではなく、そのリターンを得るためにどれ位のリスクをとっているかを計測する。数値が大きいほど運用効率が高いことを示す。一般的に、同種の投資対象分類ファンド同士を比較するのが効果的とされている。 なお、リターンがマイナスの場合には、リスクが大きいほどシャープ・レシオが大きくなるという制約を伴う。
修正総合利回り
修正総合利回りは、簿価ベースである分母の元本平均残高に評価損益を加え、総合利回りよりさらに時価ベースに近づけようとしたものである。
⇒総利回り、総合利回り

修正総合利回り=(当期実現損益+当期未収収益増減額+
当期評価損益増減額)÷(元本平均残高+
前期末未収収益+前期末評価損益)
×100(%)

受託者責任
受託者(年金の制度の運営や、資産の運用などに携わる者)が果たすべき責任のこと。善管注意義務、忠実義務が重要だと考えられている。
信用リスク
信用リスクとは、投資先の財務状況の悪化等で、元本や利金の回収が予定通り行われないことで損失が発生するリスクのこと。クレジットリスク、債務不履行(デフォルト)リスクともいう。
スタイル・インデックス
ファンドが特定の運用スタイル(割安型運用、成長型運用といった投資手法)を有する場合に、そのファンドのベンチマークとなる指数のこと。
スチュワードシップ・コード
機関投資家が「顧客・受益者」の中長期的な投資リターン拡大を果たすための原則を指す。「日本版スチュワードシップ・コード」が2014年に金融庁により策定され、コーポレートガバナンス改革を「形式」から「実質」へと深化させていくため2017年5月に改訂が行われた。「日本版スチュワードシップ・コード」は、機関投資家が投資先企業と建設的な「目的をもった対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、中長期的な投資リターン拡大を図ることを目的とする。
スマートベータ
TOPIXに代表される時価加重型のインデックスとは異なり、特定の財務指標や株価変動率といったデータに着目して指数化したインデックスを活用する運用戦略を指す。「ファンダメンタル指数型」「最小分散指数型」のように、着目するインデックスによりいくつかの類型がある。一般的には、中長期的に市場平均を上回るようなパフォーマンスを期待される運用戦略である。
政策アセットミックス
⇒基本ポートフォリオ
成熟度
年金受給者の加入員数に対する比率、給付金の掛金に対する比率等で表された年金制度の状況。恒常的に、給付金が掛金を上回る状況であれば、成熟度は高いと見なされる。
成長型運用(グロース運用)
企業の利益成長に主眼をおいて投資する手法。成長株投資ともいう。企業の競争力、商品開発力、その企業が属している業種等に着目し、一株当たりの利益成長が高いと見込まれる企業に投資する運用手法のこと。
絶対収益追求型運用
特定のベンチマークや参考指標に対する相対的な超過収益を追及する運用とは異なり、市場のパフォーマンスに関わらず、投資元本からの絶対収益を追求する運用を指す。
善管注意義務
「善良なる管理者が払うべき注意義務」の意で、忠実義務と並んで受託者責任の内容となる義務。受託者は年金制度全般の管理にあたって、当該職業または地位にある人として通常要求される程度の注意義務をはらう必要がある。
相関係数
2つ以上の動きの相関(関係)具合を示す数字。「相関係数=1」の場合は、全く同じ動きをするということを示す。例えば、2つの株価の動きを見た場合、相関係数が1であるということは、一方の株価が上昇した時には、もう一方も同じだけ上昇したことを表す。「相関係数=-1」の場合は、全く違う動きをするという意味になる。
総合利回り
利息、配当金や売買実行により発生する損益など、簿価の変動を伴う利益と未収収益(実現収益)のみを運用元本平均残高で除したもの。
⇒総利回り、修正総合利回り

総合利回り=(当期実現損益+当期未収収益増減額+
当期評価損益増減額)/元本平均残高
×100(%)

総利回り
当期に実現した損益を、元本平残で割ったもので実現損益ベースの利回り。
⇒総合利回り、修正総合利回り

総利回り =(当期実現損益+当期未収収益増減額)/元本平均残高×
100(%)

ソブリン債
各国の政府や政府機関、国際機関(世界銀行など)が発行する債券のこと。代表的なものが国債であり、これを指すことも多い。

た行

第一特約
生命保険会社が、積立金を一般勘定から分離し合同運用するもの。運用結果を直接的に保険契約者に還元することを目的として、一般勘定に特約を付加する形態をとる。第一特約には、複数の資産で運用する総合口と、個別の資産を合同で運用する合同運用口が設定されている。投資対象である株式や公社債の価格変動リスクは、一般勘定とは異なり年金基金が取ることになる。
第二特約
第一特約と同様、積立金を一般勘定から分離し、特別勘定で運用する契約。第一特約との違いは、合同運用ではなく資産を単独で運用する点にある。また、委託者は生命保険会社との協議の上、資産の配分などを決定することができる。
単独運用
運用受託機関が年金基金から委託された資金を他の資金と分離して直接投資する運用方法。年金基金独自の運用ニーズがある場合に有用。ただし、委託金額が相当な水準でない場合には、十分にリスク分散した投資が難しくなる。また、取引コストの面でもスケールメリットが享受できなくなり、合同運用が適することになる。
忠実義務
年金の制度の運営や、資産の運用に携わる人(=受託者)が果たすべき責任の一つ。受託者は受益者の利益のためだけに、忠実に職務を遂行しなければならない。
⇒受託者責任、善管注意義務
積立金運用の基本方針
積立金運用の基本方針は、運用目標を達成するために最も重要な枠組みを設定するものである。運用目標、資産構成割合(または資産構成についての方針)、運用受託機関の選任・評価に関する事項、運用業務に関し遵守すべき事項等を規定する。基本方針は、運用受託機関とも相談した上で、年金基金自らの判断で策定しなければならない。基本方針は中長期的な観点から策定されるべきだが、状況の変化に応じて定期的に見直しを行なう必要がある。
デュレーション(duration)
個別の債券の残存年数を、各期のキャッシュフロー(クーポン、償還金)の現在価値で加重平均した値。債券の現在価値を回収する期間を示す尺度で、年で表わす(例:5.1年)。
デュレーションは金利の変化に対する価格変動性も表し、債券のポートフォリオがどれくらいのリスクをとっているかを測る基準として利用される。デュレーションの長い債券は価格変動性が高く、デュレーションの短い債券は価格変動性が低い。従って、金利の低下が見込まれる局面(→債券価格が上がる)では、キャピタル・ゲインをより多く享受するためデュレーションをベンチマークに対して長期化し、金利の上昇が見込まれる局面(→債券化価格が下がる)では、キャピタル・ロスをより少なく抑えるためデュレーションをベンチマークに対して短期化することが行われる。
デリバティブ
株式や債券、為替など本来の商品から派生した金融商品のことで派生商品と呼ばれる。代表的なものとして、先物取引、オプション取引などがある。デリバティブは、もともとは原資産である株式や債券、為替の価格変動のリスク回避の手段として誕生しているが、今ではデリバティブ自体を対象とする投資が拡大している。
投資一任契約
投資一任契約とは、投資顧問業者(うち投資運用業者として金融商品取引法の規定により、内閣総理大臣の登録を受けたもの)が、投資家から投資判断の全部または一部を一任されるとともに、その投資判断に基づく投資を行うのに必要な権限を委任される内容の契約のこと。
投資顧問業者
投資家との投資一任契約に基づき、投資家から金融商品への投資判断や投資に必要な権限を委任され投資を行う、または、投資顧問(助言)契約に基づき、投資判断について投資家への助言(投資判断は投資家自身が行う。)を行う者のこと。
特化型運用
特定の資産に限定して運用受託機関に運用を委託する方法。年金基金が、基本ポートフォリオや運用スタイルに関する投資方針を策定し、個々の資産やスタイルによって運用受託機関の巧拙を判断し委託先として採用する。運用受託機関には、資産毎のそれぞれ得意不得意があり、得意な資産の運用だけを委託することによって全体の期待リターンを高めるという手法。一方で、複数の資産を委託する手法をバランス型運用という。
トラッキング・エラー
ポートフォリオとベンチマークのリターンの乖離度合いを測るリスク尺度。目標であるベンチマークから乖離する可能性を表す数値で、アクティブリターンのポートフォリオとベンチマークのリターンの差の標準偏差で測定する。パッシブ運用ではトラッキング・エラーをゼロにすることを目標としている。
トランジション・マネジメント
複数の運用受託機関の間で資産を移受管する際(新規採用、解約、シェア増減時)に、適切な資産構成割合を維持しつつ、移受管コストを最小化しようとするポートフォリオの一元的な管理手法のこと。
具体的には、単一の組織(年金基金や運用受託機関、証券会社)が変更の対象となる全運用受託機関分の構成銘柄に関する情報を把握し、移受管の計画・実行を一元的に管理することによって、現物移受管やクロス取引等の取引種類を使い分け、取引コストを最小にすることを狙う。
取引コスト
金融商品の売買を行おうとする際に発生する費用。売買委託手数料や税金等のほか、自らの売買行動によって取引価格が不利益な方に変動することによるコスト(マーケットインパクトコスト)、ファンド・マネジャーが投資判断を行った際の市場価格と取引が実行された際の市場価格の差(タイミングコスト)、ファンド・マネジャーが投資判断を行ったものの取引ができなかった場合のコスト(機会コスト)などがある。

な行

年金ALM
ALMとは、Asset and Liability Managementの頭文字をとったもので、資産と負債の総合管理のことを言う。年金ALMの目的は、①年金基金の財政状況の将来像を一定の前提のもとで明らかにし、②基金独自の負債構造を踏まえた最適な政策アセットミックスを見出すことにある。

は行

パッシブ運用
株式や債券の運用方法のひとつで、相場変動等のアクティブな予測をせずに、機械的にポートフォリオを構築して市場並みの収益率を目指す運用。
これは、効率的市場仮説を前提に、長期的には市場平均を上回る運用成果を獲得するのは困難であるという考え方に基づいている。運用受託機関への委託手数料はアクティブ運用ほどかからないというメリットもある。
⇒インデックス運用
バランス型運用
株式や債券など複数の投資対象資産をあらかじめ決められた資産構成割合に基づき運用すること。一方で、特定の資産に限定した運用を特化型運用という。
なお、投資した資産の価格変動により、実際の構成割合が予め決められたものから一定程度乖離した場合に、構成割合が上昇した資産を売却し、低下した資産を追加購入して乖離を調整し、構成割合を維持しようとする投資行動をリバランスという。
バリュー・アット・リスク(VaR)
現在保有している資産が、絶対金額としてどの程度、損失する可能性があるのか、過去の価格推移をもとに、統計的に測定する指標として用いられるのがVaRである。金融資産を一定期間保有する場合、特定の保有期間内に、特定の確率の範囲内で評価される期待最大損失額と定義される。VaRを用いて、保有資産の値下りが最悪の場合、値下がり額がどの程度になるかを認識することができ、具体的な施策をとることが可能になる。
バリュー運用
⇒割安型運用
バンクローン
銀行その他の金融機関による、信用格付の低い企業向けの融資(=レバレッジド・ローン)の貸付債権のこと。債券と同じように、新規発行市場(プライマリー)と流通市場(セカンダリー)において取引される。
標準偏差
リスクを測る尺度の一つ。株価などの過去データから、平均値と各データの乖離(=偏差)を2乗し、それを平均した値の平方根として計算される。
ファンド
ファンドとは、直訳すれば運用資金の意味であるが、投資家から資産運用の委託を受けた投資顧問業者などの金融商品のことを指す場合が多い。
不動産投資信託(REIT)
不動産を投資対象とする投資信託商品を指し、英語の頭文字をとって、「REIT(リート)」とも称される。投資家から集めた資金を、ビル、オフィス等の不動産物件に投資・運用し、そこから得られる賃貸料や売却益を投資家に配当するというスキームの投資信託商品である。証券取引所に上場していて、証券会社を通じて誰でも売買が可能な公募REITと、証券取引所には上場しておらず、機関投資家など特定の投資家だけを対象として私的な募集によって販売される私募REITがある。
プライベート・エクイティ
未公開株式に投資し、株式公開や第三者に売却をすることで、キャピタル・ゲインを獲得することを目的とした投資のこと。
プライベート・デッド
相対的に信用力の低い企業に対して、銀行以外の主体が投資家から集めたお金をローンの形で貸し出すファンドを指す。将来の成長が見込めるものの一時的に財政困難に陥り銀行の融資が受けられなかったり、新規に事業を始めたばかりで資本市場での資金調達が困難だったりする中小企業等が主な対象となる。
分散投資
より多くの金融資産に投資資金を分散して投資すること。投資対象が複数あれば、仮に、一つの資産が値下がりした場合でも、他の資産でカバーできるという考え方による資産分散効果や、株式も債券も常に値動きがあるので、一時期にまとめて投資をするのではなく、時間をずらしながら投資を続けることによって、平均購入価格を投資期間中の平均に近づけるという時間分散効果が期待できる。
ベータ(β)
個別銘柄の株価は株式市場全体の動向に大きく影響を受ける。個々の株価は市場に連動している。市場が上向きであれば、個別株価も上向いており、市場が下向きであれば、個別株も下向いている場合が多い。個別株の連動性が強いか弱いのかというのは、裏を返せば、個別株のリスクでもある。個別証券(あるいはポートフォリオ)の収益が証券市場全体の動きに対してどの程度敏感に反応して変動するかを示す数値で、現代投資理論(モダン・ポートフォリオ・セオリー:MPT)でよく用いられる。
ヘッジファンド
ヘッジファンドについての明確な定義は存在しないが、以下のような特徴のうちのいくつかをあわせもったファンドのことを指すのが一般的である。
  • 伝統的な運用手法にとらわれず、保有していない証券を売却(空売り)したり、デリバティブを用いたりする
  • ベンチマークを上回る収益率獲得を目指すのではなく、収益率自体に目標値を設定する
  • 運用報酬の決め方が成功報酬体系となっている
  • ファンドへの資金の出し入れのタイミングが限定されている(投資家が希望するタイミングでの投資または解約が行えない場合がある)
  • 運用会社が自己資金をファンドに投資する
ベンチマーク
運用受託機関の運用成績を評価する基準として採用した市場指標のこと。運用受託機関がどれだけの収益率をあげたかという絶対的な判断ではなく、市場に対してどうであったかという相対的な判断(ベンチマーク評価)をするときの基準値となる。一般的には、資産ごとにできるだけ市場を広くカバーした代表的な指標をベンチマークとすることが多い。また、複数の資産に投資している場合には、各資産のベンチマークを資産構成比に応じて組合せた複合ベンチマークを、運用資産全体の基準値とする。
なお、アクティブ運用がベンチマークを上回る収益率獲得を目指すのに対して、パッシブ運用はベンチマークに連動する収益率獲得(トラッキング・エラーをゼロにする)を目標とする。
ベンチャーキャピタル
高い成長性が見込まれる未上場企業(ベンチャー企業)に対して投資を行う機関のことで、投資先の企業が株式公開することによって得られる上場益を主な収益源とする。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、本来「紙ばさみ、書類カバン」を意味する用語で、これから転じて資産運用では、分散投資された資産の構成、またはその資産全体のことをいう。
ポートフォリオのリバランス
ポートフォリオの資産配分を、一定の構成比率に維持すること。年金基金のポートフォリオは、市場の変化等により放置しておくと基本ポートフォリオから乖離が生じる。そのため、新規資金の配分割合の変更や各資産間の移受管等を行なうことにより、ポートフォリオを政策アセットミクスから一定の範囲内に維持する。現実のポートフォリオが基本ポートフォリオから乖離し、効率的フロンティアから離れれば離れるほど、ポートフォリオの理論上の効率性は減少することになる。実務的にリバランスをどれくらいの頻度で、どのタイミングで行なうかについては、資産間の移受管に要する取引コストを勘案した上で決定される。

ま行

マスタートラスト
複数の運用受託機関等を管理するために設定される単一の信託機構で、一つの信託会社が資産の集中管理と会計報告の一元化を行う仕組みのこと。年金基金は情報管理の一元化により事務を効率化することが可能になる。
マネジャー・オブ・マネジャーズ
運用受託機関が、他の運用受託機関を評価選定し複数の運用受託機関を適切に組み合わせて、一つの運用として投資家に提供する運用方式。
マネジャー・ストラクチャー
年金資産の運用における運用機関の構成のことを指す。実際には、運用機関の構成そのものよりも、「年金資産をどのような種類(役割)の運用機関に、どのようなウェイト(資産額)で配分するかを決定すること及びそのプロセス」を示す。マネジャー・ストラクチャーの主要な目的の一つとしては、政策アセットミックスの効率的かつ効果的な実現というものが挙げられる。

や行

有効フロンティア
⇒効率的フロンティア(efficient frontier)

ら行

リスク
通常、リスクという言葉は危険(好ましくない状況が発生する可能性)という意味で用いられるが、投資の世界で単にリスクという場合は、投資収益の振れ(ばらつき具合)を意味することが多い。過去のデータから投資収益のリスクを測る尺度の一つとして標準偏差がある。
リスク許容度
リスク負担者が投資等のリスク負担をする際に、最大どの程度までリスクを取れるかを表す尺度のこと。
厚生年金基金のリスク許容度は基金の成熟度等(年金受給者の加入員数に対する比率、給付金の掛金に対する比率等)の基金サイドの要因と、掛金を拠出する母体企業(設立企業)の掛金負担能力やリスクテイク(リスク負担)の意志等により複合的に決まるので、年金ALM分析によるシミュレーション等を行ないながら総合的に判断される。
一般的には、成熟度が低い基金はリスク許容度が高く、成熟度が高い基金はリスク許容度が低いといえる。
リスクプレミアム
金融資産の期待収益率と無リスク金利との差。同じ投資期間内において、あるリスク資産の期待収益率が、無リスク資産の収益率を上回る幅のこと。たとえば、投資家が、株式という価格が変動するものに投資をするために、価格の変動しないものと比較をして、どのくらい見返りが大きければ、投資をする気になるのか、その度合いを表す。
流動性リスク
市場での取引量の少ない資産の売買を行おうとする場合に、通常よりも著しく不利な価格での売買を強いられること、または売買成立に時間を要することにより損失を被るリスクのこと。
ロールダウン効果
債券投資のリターンは、債券の利子収入より得られるインカム・ゲインと債券の価格変動により得られるキャピタル・ゲイン(ロス)に分かれる。イールドカーブの形状に変化がないという前提で、一定期間内に得られるキャピタル・ゲインをロールダウンといい、時間経過によりイールドカーブの傾斜に沿って利回りが下がり、債券価格が上昇することを指す。利回りの低下は債券価格の上昇を意味するため、イールドカーブが右肩上がりの形状で傾きが急になればなるほど、ロールダウン効果が高くなる。

わ行

割安型運用(バリュー運用)
企業の利益・資産などの基準に対して割安なものに投資する手法。
株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)の低いもの、配当利回りの高いものなどが代表的な選択基準。(これらの基準をみて、株価が割安におかれている企業が投資対象となる。)